ぷり子の部屋

やかましいブログです。

【BANANAFISH】英二は本当に必要な存在だったのか

※この記事は前半ネタバレなし、後半ネタバレありです。

一年間YouTubeTwitter、配信を通じて皆さまに自分を曝け出してきましたが、BANANAFISHについてはほぼ触れずにやり過ごしてきました。
と言うのも、私のこの作品に対する思いや個人の思想があまりに強すぎて、解釈違いの事を言われると絶対に取り乱してしまうのが分かっているからです。(既に狂気を感じる人は逃げてぇ)だから、普段は腐女子で二次創作物大好きな私でも、BANANAFISHに関しては一切読まない。他の人の感想も見ない。自分だけで完結させる。
しかし、ブログなら一方的だし、文字数も制限なく、嫌な人はここで引き返せるということを予防線にして、書いてみようと思います。

そして何より、この作品に触れた事のある人なら「絶対にこの拗れる気持ちを理解してくれる」という確信があります。
それ程までに、この作品には十人十色の解釈を持つ人が居て、それぞれの正解があると思っているのです。

BANANAFISHとは

あらすじ:ストリートキッズのボス、アッシュは、胸を射たれて瀕死の男から薬物サンプルを受け取った。男は「バナナフィッシュに会え…」と言い遺して息を引き取る。ベトナム戦争で、麻薬にやられて、正気を失ったままの兄が時々つぶやく「バナナフィッシュ」と同じことばを聞き、興味を抱いた。謎の言葉『バナナフィッシュ』を追うアッシュに、暗黒街の黒影が迫る…!大人気ハード・ロマン!!

引用:e-booksJAPAN

上記の内容からは想像し難いですが、驚くべき事に少女漫画として出版されました。
(まぁ女子はほぼ出てこないんだけど。)
そして、私が産まれる前に連載がスタートし、完結から30年近くが経過しています。
2018年に皆さん大好きMAPPA制作で初めてアニメ化されたんだけど、アニメは「忙しい人のためのBANANAFISH」という感じで、ストーリーの大筋を24話に綺麗にまとめてくれてるな、という感想。ただ、絵も綺麗だしアクションシーンも素晴らしいし、声優さんにも主題歌にもかなり力を入れてる。漫画の世界観を崩さずによく制作してくれた…と感謝なり。

漫画はやっぱり昔の作品なので、初期の絵はアニメと似ても似つかないけど。途中でガラリとタッチが変わって、後半はかなりアニメに近い。どの時代の作画も私は大好きです。

よく言われてるけど、結局BLなの?

ひえぇぇぇぇ。
名探偵コナンって新一と蘭のラブストーリー?」って聞かないでしょ?
こんなにも無駄な会話はないぜよ!!と私の中の坂本龍馬が暴れとるぞ。
そりゃあアッシュと英二の絆が大きなテーマの一つとして描かれているのは間違いないよ。

しかし、バナナフィッシュは男同士のいちゃこらロマンス物語ではない。
そもそも、この二人の関係性に名前を付ける方が難しいんだよね。私個人の解釈は後半で。

アッシュ・リンクス

引用元:BANANAFISH

この物語の主役で、私の初恋の人です。
推しではなく、普通に恋してましたわ。
これが最大の拗らせの原因であるので、
迂闊に二次元に恋をするもんじゃないよ。
一同「しない。」

ダウンタウンストリートギャングのボス、男も惑わすとんでもない美形でIQ200超え。僅かな情報から状況を判断し、的確に正解を導き出すアッシュを、頭脳戦で出し抜くのはまず無理。それじゃあ、喧嘩の腕は…というと、神は二物も三物も与えるものでして、中でも銃の腕はSWATでも敵わない程にピカイチ。どんな体制からでも、正確に眉間を貫ける程の射撃能力を持っています。
生まれ持ったカリスマ性で周囲を強烈に惹き付けて止まないのだけど彼と対等な人はどこにもおらず、作中に出てくる「彼には絶対の崇拝者か、敵対者か。それ以外の人間は必要ないんだ」 という台詞が客観的に見たアッシュの印象なのだと思っています。

奥村英二

引用元:BANANAFISH

日本からやってきた大学生で、アッシュとの出会いはストリートギャングの取材。
アッシュよりも二つ年上だけど、日本人な上にそもそもが童顔だから中高生にしか見えない。作品を見ていない人に英二の事を紹介しようとすると、「心優しい普通の男の子」としか言葉が出てこない程に、アッシュとは全く違う世界で生きてきているので、あの日の出会いがなければどう生きていても一生交わる事のなかった縁だと思う。

前述であるように、BANANAFISHを巡るストーリー展開とアッシュと英二の友情を超えた絆が見所ではあるのだけど、私は作品紹介をしたい訳じゃないので前半はこの辺で終わります。
(と言っても、特に奥深い感想文が書ける訳でもないんだけどね。)


※ここからネタバレあり




英二への想い

ところで、私の最大の拗らせの原因に繋がってくるんですが、私は途中まで英二がすごく嫌いだったんだよね………。(ついに言ってしまった)
元々少年漫画でも役立たずの癖にやたらと引っ付いて来ては足を引っ張る系のヒロインが大嫌いで、ナル○のサク○、犬○叉のかご○、るろうに剣○のかお○に近い苛つきを感じていたのよ。アッシュの事が好きすぎるが故、
「あんた何でそこに居るんだよ!ほんで、何で捕まってんだよ!邪魔だ邪魔!!」と事ある度に英二に苛々していました。
グリフィンやスキップやショーターが死んだのも、全部英二のせいじゃないか。
圧倒的強者に守るものが出来てしまったら、それが唯一の弱点になってしまうのは当然。
英二さえいなけりゃアッシュは1人で戦い抜いて、全て思い通りのままハッピーエンドを迎えられるのではないか?そんな事を考えていました。
しかし、アッシュが死んでしまった時、不思議と英二のせいだ、と思わなかったのです。
この作品最大のロス原因である「アッシュの死」こそ「英二さえいなけりゃ……」と唇を噛み締める人も多数居ると思うんですが、アンチ英二だった私が、そうは思わなかった。

あんな風に生きていたら、アッシュはきっと若くして死んでしまう人なんだろうといつも頭のどこかで覚悟はしていました。あのタイミングじゃなくても、何かの抗争に巻き込まれたり、とかでね。
死にたがりではないけど死に恐怖を感じないタイプのアッシュだから、自分の最期をあっけなく受け入れるんだろうと。なので「あそこでああしていたらアッシュを救えたかも…!」なんて事は思わないです。そういう危険さも、アッシュの魅力なのよね。
しかし、どんな形であれ最期を迎える瞬間、アッシュの人生の中に英二という存在が居るのと居ないのとでは、大きく違ったんじゃないか?
英二が居なきゃ、アッシュは「本当の意味で独りで死んでいく人生」だったのではないか、と思ったんです。それって、果たしてハッピーエンドなのだろうか。愛情を知らずにほんの少し長生き出来たとして、アッシュは本当の意味で幸せなのだろうか。

引用元:BANANAFISH

このシーンを読んだ時、あまりの衝撃に膝から崩れ落ちました。アッシュが「これ以上ないくらい、幸福でたまらない」と語っている。幼い頃から過酷な環境に身を置きながら、ずっと己を武器に生きる事をコントロールしてきたアッシュが産まれて初めて知った「幸福」という感情。もしかしたら一生知る事が出来なかったかもしれない感情。
それを与える事が出来たのは、親でも仲間でもない、英二という存在だった。アッシュは英二に「俺が怖いか」と尋ね、英二は「まさか」と即答する。「ずっとじゃなくていい。側に居てほしい。」と弱音を吐き、「ずっとだ。」と応えてくれる。
今までこんなにも真正面から純粋に受け止めてくれて、対等に接してくれる人はきっと居なかったんだね。
これを見た時、「分かったよ、アッシュ。アッシュが幸せならそれでいい。」と、私の中の英二への邪悪な想いが削ぎ落とされていったのでした。

アッシュの死

BANANAFISHが「鬱作品」と呼ばれる1番の原因が、これじゃないかな。
常に人生そのものに死亡フラグが立っているような状況を乗り越え続け、ようやくここからアッシュの本当の人生がスタートするぞ、という時にまさかあんな風に刺されるとは。いや、確かにラオはずっとアッシュに恨みを持っていたけど、ここで回収させるか、その伏線。
しかし、これこそ私が常々感じていた「アッシュはふとしたきっかけで死んでしまうんじゃないか」という心配が、具体化されたシーンでもあった。長生きしそうなキャラでもないし、もしも銃を持たない平和な世界に行ったとて、きっと心の底から安堵を感じる事が出来るような人生を送ってこなかったアッシュなのだから、きっとこれで良かったんだ。最期の顔がとても幸せそうだったからこれで良かったんだ。そして、この安らかで安心し切った表情こそ、英二が与えた「本当の幸福」を握り締めたまま逝けたという証拠なのだから、これで良かったんだ。英二がアッシュから「強烈な孤独」を感じたという図書館で、アッシュは最期の最期は孤独ではなかった。英二がアッシュを絶望から救い、孤独から解放してあげたんだ。
あの時こうしておけば…という事は考えない。これがアッシュ・リンクスの生き様で、最期だったんだから。
今となって、ようやくそういう風に噛み砕けるようになりました。

アッシュと英二の関係性

BANANAFISHから7年後の話として「光の庭」というものがある。救済本と呼ばれるくらい、この話に感謝している人は多いだろうね。
そこで、シンが「恋人以上だった」と語っているけど、もう親友とか恋人とか家族とか、そんな風に「何か」に当て嵌められる関係性ではないと思う。この二人の関係性を形容する言葉が、本当に思い付かないのだ。
確かに、周りから見たら「こりゃ絶対デキてるだろ」と思うだろうというシーンもあるけれど、本人達の中にはそういう意識が全く垣間見えないんだよ。
ただただ純粋に、本能で「命に代えてもお互いを守りたい」と想い合う関係は、恋人になるのだろうか。家族でもそうじゃないか。でも血が繋がっている訳でもないし。という事は友達?親友?やっぱり恋人?
私の中の結論は、「そんな事はどうでもいいや。」に至った。どうでもいい、何もかも。
二人の関係は、二人にすら分からないと思う。
この作品を前にして、近所の噂好きのおばさんのように「二人ってどういう関係なの?」と聞く方が無粋なのだ。

最後に

BANANAFISHという作品は、あまりにも私の住む世界とかけ離れ過ぎていて「この作品から何かを学べる!」という内容では正直、ない。
スラムダンクのように人生のバイブルになるカテゴリでもないし、これをきっかけに銃の練習をする訳にもいかない。アッシュと英二のように、唯一無二の存在に出逢える可能性だってほぼ0に近い。
何でそんなにオススメするの?と聞かれたら私は「アッシュがかっこいいから。」とIQ2くらいの答えしか用意出来ない。
それでも、この作品に触れた人は「本当に読んで良かった」と言う。そして、「何が良かった」のかは、あまり具体的には言わない。
これ程までに面白いストーリーなのに、感想を言うのが難しい作品は中々ないと思う。
そこもまた、BANANAFISHの魅力なのかもしれないね。
当然、私もこのブログに全てを書き切れている筈もないし、書けば書くほどペラペラな言葉しか出てこないのが残念なのだけれど、どれ位この作品とアッシュを愛しているか、少しは伝わったと思ってる。
アッシュ・リンクス、貴方の生き様は30年経った今でも色褪せないよ。英二の魂と共にゆっくり眠って、いつかライ麦畑で待ち合わせてほしい。

それじゃ、またね。

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